原油からガソリン・灯油・軽油・重油が採れるのはよく知られていますが、同じ原油から「ナフサ」という留分も得られます。ナフサは燃料としてより、石油化学製品の"原料"として重要で、日本の産業と暮らしを足元から支えています。
- ① ナフサ=原油の分留で得られる軽質留分(粗製ガソリン)。
- ② 主用途は石油化学の基礎原料。プラ・繊維・ゴム・塗料などの出発点。
- ③ 日本は輸入依存が大きく、原油価格・為替・地政学で価格・供給が動く。
WHATナフサ=原油から採れる「粗製ガソリン」
原油を製油所で加熱すると、沸点の違いでガス・ナフサ・灯油・軽油・重油などに分かれます(分留)。このうちナフサは、ガスとガソリンの間あたりの軽い留分で、「粗製ガソリン」とも呼ばれます。原油からガソリン等が生まれる流れは石油の旅(原油から給油まで)で図解しています。
USEナフサは何に使われる?
ナフサはナフサクラッカー(分解炉)で高温分解され、エチレン・プロピレン・ベンゼンなどの基礎化学品になります。ここから、次のような身近な製品が生まれます。
- プラスチック(容器・フィルム・部品)
- 合成繊維(ポリエステル・ナイロン等の衣料)
- 合成ゴム(タイヤ・工業部品)
- 塗料・接着剤・洗剤など
また、重質ナフサは改質してガソリン基材や芳香族の原料にも使われます。
TYPES軽質ナフサと重質ナフサ
| 種類 | 性質 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 軽質ナフサ | より軽い(低沸点)成分中心 | ナフサクラッカーでエチレン等を製造(石油化学原料) |
| 重質ナフサ | やや重い成分を含む | 改質してガソリン基材・芳香族(ベンゼン等)の原料 |
WHY SHORTAGEナフサ不足はなぜ起きる?
日本はナフサの多くを輸入に頼っているため、国内外のさまざまな要因で需給や価格が動きます。主な要因は次のとおりです。
- 原油価格・為替:原油高や円安はナフサの調達コストを押し上げる。
- 製油所の稼働:定期修理・トラブル・設備能力の変化で供給量が上下。
- 需給バランス:石油化学製品の需要増減、海外からの引き合い。
- 地政学リスク:産油地域の情勢や物流の混乱による供給不安。
IMPACT私たちの暮らし・経済への影響
ナフサは石油化学の川上(かわかみ)原料です。ナフサ価格が上がると、プラスチックや合成繊維など幅広い製品のコストに波及し、生活用品から工業製品まで値上げの一因になります。ナフサ価格が「隠れた物価の指標」と言われるのはこのためです。
FUEL vs CHEMICAL燃料としての石油とのつながり
同じ原油から、燃料(ガソリン・軽油・A重油・灯油)と化学原料(ナフサ)の両方が生まれます。だからこそ、原油価格や製油所の状況は、私たちが扱う燃料の価格にも、身の回りの製品の価格にも、同時に影響します。燃料と化学品は"原油から生まれた兄弟"のような関係です。
FAQよくあるご質問
原油の分留で得られる軽質留分(粗製ガソリン)で、主に石油化学製品の基礎原料に使われます。
ナフサクラッカーでエチレン等に分解され、プラスチック・合成繊維・ゴム・塗料などの原料になります。
成分の重さの違いです。軽質は石油化学原料、重質は改質してガソリン基材・芳香族原料に向きます。
原油価格・為替、製油所の稼働、需給、地政学リスクなど。日本は輸入依存が大きく影響を受けやすい構造です。
川上原料のため、価格上昇はプラ・繊維など幅広い製品のコストに波及し、物価全体に関わります。
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※ 本ページは石油・石油化学に関する公開情報にもとづく一般的な解説です。分類・用途・市況は時期や情報源により異なる場合があります。